2002年 7月24日
投稿者 佐音友俊
『特撮談義4』
一作目というのは大切なものなんですね。仮面ライダーもウルトラマンも平成時代
の作品の方が内容も特撮も初代を遙かに凌駕していると思うのですが、ゴジラに関し
てはそのストレートな主題故に初代を越えることは出来ないのかも知れません。逆に
平成ガメラシリーズに関しては初代のガメラの作りが拙作の域を脱していないので、
あっさりと初代を越えてしまっている感じがするのとは偉い違いだと思います。
ゴジラに関してはやたら今までのことはなかったことにしようと言う展開が多すぎ
るのも気になるところです。まんま続編の「逆襲」に当場したゴジラはいわば正統的
な2代目ゴジラです。この2代目が「メカゴジラの逆襲」までひたすら頑張り続け
る。いわゆる84ゴジラ以降が平成ゴジラシリーズ。84はもう一つの「逆襲」で
す。あっさり、昭和の2代目の存在は無視されました。チャック・ウィルソンや中川
安奈の介入で歴史がぐちゃぐちゃになり、とにかく平成ゴジラは平田昭彦の亡霊のよ
うなデストロイヤ戦の後に自爆。その後、ミレニアムゴジラが3回目の無かったこと
にしようをした後で、ラドンの餌だったはずのメガヌロンの成虫と戦ったらしいので
すが、ミレニアム2作品はみていないので、よくわかりません。そして、ついに4度
目の無かったことをして、「大怪獣総攻撃」に突入するのであります。
護国聖獣という呼称からして、小泉首相の靖国参拝論議を再燃させそうな設定が危
ない2002年の正月映画です。とはいえ、護国聖獣が弱すぎる。というよりも、そ
の設定に本来スターであるはずのモスラたちを使ってしまって良いのかは大きな疑
問。バラゴンは確かにスター性はないけれど、主演映画は完成度高いし、その後、幾
たびも初期ウルトラシリーズに貢献した怪獣としてマニア受けしている怪獣です。あ
る意味で自分の役割を全うしたいぶし銀の魅力という感じで、「怪獣総攻撃」の中で
も唯一匹、善戦したのはバラゴンだったと思います。そもそもバラゴンは小さいの
で、ゴジラとは戦えまいと思っていたのですが、彼との箱根決戦は一番スリリングで
良かった気がします。護国聖獣の役を出来る東宝怪獣と言えば後はバランか獣人雪男
くらいではないかしらん。モスラは南洋生まれだし、そもそもギドラは宇宙怪獣では
ありませんか。
モスラもギドラも小さいし、困った展開。ともかく、宇宙超怪獣キングギドラはど
こへいってしまったのでしょう。あのむちゃくちゃ強かったキングギドラは。「怪獣
総進撃」で9対1のハンディ戦で力尽きるまで、死んだことがなかったのだから、あ
の強さは半端ではなかった。まぁ、たかがゴジラとラドンと小競り合いして逃げ
ちゃったこともありましたが、とにかくギドラは強い、負けない、いや死なないとい
うイメージが昔はありました。それが平成ゴジラで超ドラゴン怪獣として合成復活さ
れて以来の連戦連敗はどうしたわけなんでしょう。ゴジラをひたすら悪玉と描くこと
で成立していた平成シリーズ以降は、ゴジラ以上の強い怪獣の存在は認められない世
界だから、ゴジラが負ければ、−その怪獣が人類の敵になるだけだという高嶋政伸の
台詞があるように、そんな怪獣が出れば−ゴジラシリーズの終焉だとばかりひたすら
ゴジラはチャンピオンベルトを守りつつけるしかないのでしょうか。末期のハーリー
・レイスか、リック・フレアーみたいなものです。王道プロレス的展開で、昨今の格
闘技界のようなスリリングな展開は所詮、東宝唯一のドル箱シリーズとしての宿命の
前では望むべくもないのでしょうか。
双子の小美人抜きのモスラというのも斬新は斬新だが、あそこまでモスラやギドラ
のキャラクターやスター性を無視してしまってはまずいと思います。あそこまで、無
視するのならいっそ新怪獣でゴジラに対抗するべきだったと思います。とはいえ、新
怪獣の描写に取られてしまうと時間的、予算的にもつらいので、間に合わせてしまっ
たのではという感が否めません。平成ガメラの監督を務め続けた金子監督作品と言う
ことで、スリリングな展開を期待したのですが、東宝の正月映画というポジションに
負けてしまったとしか思えません。また、ゴジラが戦没した兵士の魂が憑依した姿で
あるという解釈は昔、宝島ムック等でけっこう言及されたネタでした。
まっ映画を見た後で様々なツッコミを親父が訳知り顔で子供にできるようなファミ
リー映画になっていたのだと思えば、不満もないかも知れません。私が子供の頃の大
人は当然、ゴジラを子供の頃に見たことがないので、怪獣映画に関して愛情を感じて
はいなかったわけです。その点、今の映画は親子で映画鑑賞をした後で、子供に蘊蓄
を傾けて、親の権威(?)を誇示できる映画になっていたのかも知れません。そうい
えば、劇中の人間ドラマは親子の絆の物語でした。
ラストに登場するゴジラの心臓は、どう考えてもフランケンシュタインの心臓を彷
彿とさせます。G細胞とは実は戦時中のナチスの秘密兵器だったのでしょうか。