2001年5月2日
投稿者 佐音友俊
『特撮談義』
ご多分に漏れず私もウルトラマン世代である。懐かしいアスパラ製薬のコマーシャル
を覚えている口だ。初めて書いた漢字が「怪獣」で、ガメラを書こうとしてガナラに
なっていた幼年時代を過ごした。記憶にきちんと残っている最初の映画館体験が途中
から見た「大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス」だった。その時映画館の前で撮った写
真は幼い頃の数少ない映画体験の一つである。私自身はゴジラ派よりもガメラ派で
あって、奇想あふれる大映自衛隊の作戦が好きだった。ガメラひっくり返し作戦と
か、ギャオス回転お立ち台作戦とか。ちなみに究極の作戦「Zプラン」は若干「84
ゴジラ」に流用されてましたがね。メカニックなガメラの活躍にはしびれました。あ
のブレーキが軋るような甲高い声と、回転して飛んでいるときのシュルシュルという
音。ガメラは音で魅せますね。その点、ゴジラには無敵の伊福部サウンドがついてい
る。
いずれはガメラとゴジラは一戦交えることになるだろうが、その時はしっかりと決
着をつけてもらいたい。「キングコング対ゴジラ」みたいな、いきなり引き分けでお
茶を濁すのではなくて、とにかくどちらかが勝つ。そしてリベンジと、そういうプロ
レス的な展開をしてほしいものです。
ウルトラマン世代としては、ウルトラマンの話をしておかないと次には進めない。
空想特撮シリーズとなると「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」「怪
奇大作戦」という初期4部作が侵すべからざる聖典としてマニアには崇められている
ようだ。特に「怪奇大作戦」はアダルトな作りで、子供心にハイブロウな作品でした
ね。(ちなみに私は月星の「怪奇大作戦」と「決断」の靴を持ってたんですよね、何
故か。なんでなのかはわからない。子供心に欲しがったとは思えないような靴で
す。)まあ、子供だましではなくて、大人が子どもや若者に与えられる娯楽としてき
ちんと作られていたことは間違いないと思います。こんなことをいうと、「帰ってき
たウルトラマン」や「ウルトラマンA」とかのファンからも苦情が出るだろうが、世
間的にはこういう見方でしょう。何分にも怪獣造形が悪かったからなぁ。
初期ウルトラシリーズに関して世間の見方でなくて、私の見方はどうか。初期4部
作の志は買いますね。だってこの4作品は今の視点で見てなんら遜色のないもので
す。特撮技術は現在、相当発展していますが、特撮映画にとって何より大切なのは志
ですからね。所詮、インチキなものをどう説得力もって描けるかですから。特撮技術
の進歩なんてのは、極論を言えば指人形が操り人形に進化したくらいのものです。
「ダイナソー」のCGは素晴らしいかも知れないが、視覚効果だけを言えば、単純で
効果的な二重露光の特撮効果だって立派な衝撃を与えられるってものです。怪獣もの
特撮で大切なのは、日常の存在である風物と非日常の存在である怪獣やメカが如何に
空気感を伴って融合されているかに尽きるのです。技術は年々歳々進歩しています
が、きちんと融合されているかという怪しいですよね。
ハリウッド映画が得意のCGエフェクトですが、特にビデオで見ると粗が見えます
ね。デジタルでクリアな分、アナログな登場人物の芝居との合成がうまくいってない
のです。結局のところ、観客を感動させるのは特撮ではなくて、役者の芝居なんで
す。役者の芝居と乖離しているようなCGは役者の足を引っ張るだけの代物で、観客
を興ざめさせてしまう。
円谷プロの初期4部作は特撮技術が今のレベルとは劣るとはいえ、そんなものは後
からいくらでもCGで補完することが可能なご時世なのだから、問題ではないので
す。ということは現在のハリウッドCG特撮に対するさっきの私の批判も的はずれな
んですね。要するに、人間ドラマが如何に描かれているかが、作品の評価の基準なの
です。そんな意味で21世紀の今でも、円谷プロ初期4部作は鑑賞に堪えると思いま
す。と言うわけで、初期4部作はどれも甲乙つけがたい魅力的な作品群であります。
「ウルトラセブン」は特に人気が高いようですが、個人的には私は「ウルトラマン」
の描く陽性な未来が好きなんですがね。ウルトラシリーズという観点から言えば番外
ですが、勇壮なる富田勲のテーマ音楽が高揚感をあおる「マイティジャック」もあり
ますね。